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コーヒー片手に、日々の何気ないことをつづった日記であります。


by the-sahara
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静かなる戦い

冬がやってきた。
今までは背広だけで歩いていたサラリーマンも、ロングコートを羽織り始める季節。同じデザインかと思うくらい、見分けのつかないコート。
ロングコートと言うだけあって、長さはひざくらいまである。

今日は、そんなおじさんのロングコートと、静かな戦いを繰り広げてきたと言うお話。

帰りの電車は、よほど急いでいない限り、待ってでも座ることにしている。
今日もいつもの時間の、いつもの座席を狙って、発車の15分も前にホームに到着した。
座席も確保できたし、やれやれようやく帰れるぞ。
寝るか、本を読むかと迷った挙句、図書館で借りている本を読むことに決めた。

読書を始めて数分後、ひとりのサラリーマンが目の前のつり革につかまった。
荷物を網棚に上げるときに、思いっきりロングコートのすそが覆いかぶさってきた。うう、我慢、我慢。
待望の発車。これで一安心かと思ったら、なんのなんの。これは戦いの始まりに過ぎなかった。
電車の揺れに合わせるかのように、そのおじさんが前後左右にゆれ始める。そのたびに、コートのすそが大きく揺れる。揺れる。揺れる。
いや、それは揺れすぎやろ!! ひざをかすめとるって! てか、暗いんですけど!

嫌がらせかと思うくらいの攻撃。
にらみつけてやろうかと思ったが、ここは知らん振りを決め込むことにした。それは、ただひたすら顔色も変えずに本を読み続けることだった。
スイング、スイング。覆いかぶさって~、またスイング。
最後には、どんどん本にコートがかぶさってきて、半ばおじさんのコートに包まれるかのように読書をすることになってしまった。いや、こんなことくらいで負けてたまるかと、ほとんど光の当たらない空間で本を読み続ける。
もはや何の勝負か分からないままに、最寄り駅に到着。おじさんも同じ駅で降りていった。
この勝負、どちらの勝ちか分からないが、少なくともロングコートを着たときには、電車での立ち位置には気をつけようと心に誓って帰ってきた。
意外に不快なものだと思ったからである。
by the-sahara | 2006-12-06 20:36 | 日常のひとこま