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コーヒー片手に、日々の何気ないことをつづった日記であります。


by the-sahara
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パズルのピースがはまるみたいに

例えば、誕生日。クリスマス。バレンタインデー。何か、嬉しいことがあったとき。
1年間に、誰かにプレゼントを贈る機会というのが意外にある。
たいていは、いつも同じ人に贈る。だけど、何にしようかと頭を悩ませることは、何年経っても、何回その日を迎えても、変わらないことだ。

今年も、そのときがやってきた。
プレゼントを探すとき、いきなり街に出て、あらゆる雑貨屋さんをめぐりながら考えるのが、一応基本的なパターン。食器がいいかな、それとも、何かアクセサリー? ぐるぐるいろんな店で、いろんなものを見ながら、いつの間にか自分のほしいものを見つけてしまったりする。
一見、目的から外れているように見えて、案外これがあなどれない。それがそのまま、プレゼントになってしまうことがよくあるからである。
自分のアンテナに引っかかったもの、それこそが、求めていたものだ。実際、それが見つかった瞬間に、「絶対これだ!」と思い込むせいか、そのあとどんなに素敵なものを見つけても、選ぶことはほとんどない。それ以前に、最初にアンテナが反応したものを超えるようなものは、なかなか見つからないのだけれど。

プレゼントを選ぶのは、大変骨の折れる、とてつもなく楽しいこと。
何日か前から、場合によっては何ヶ月か前から、どうしようかと考える。
どんなものが好きだっただろう。確か、去年も、おととしも繰り返した問答を、今年も始める。
好きな色は? 好きな食べ物は? 好きな歌手は? あれ、これだけしか思いつかない…? じゃあ、どんな考え方をする人だっただろう。今、興味のあることは?
初めて会った頃に教えてくれたこと、友達からの話、これまでの会話。記憶を総動員して、考える。
それなのに、今回はいつものように、何かがひらめかない。これには困り果ててしまった。

何かを贈ろうとするとき、できるだけ外すものがある。まず、服や靴など、サイズのあるもの。次に、化粧品や入浴剤など、肌につけるもの。そして、本と音楽だ。
特に最後の本と音楽は、自分の中でタブーにしていた。
まずは、好き嫌いがはっきり分かれること。そして、好きになってくれたときはいいが、好みに合わなかったときに、ほんの数分でも大切な時間をとってしまうこと、が理由としてあげられる。好きでないものを押し付けられるのは、正直苦痛なものだ。自分で買ったものならともかく、誰かにもらったものは、ほんの少しでも読まねば、聴かねば、という気になってしまうこともあるだろう。そうなったら申し訳ないな、と思うので、自分が贈るのは控えている。
それに、本は、自分の考え方や好きのものが、はっきりあらわれるような気がして、少し照れくさくもある。下手をすると、その考え方の押し付けにもなりかねない。

しかし、今回はあえて本を贈ることにした。ある思いを伝えたかったから。
条件は、1つだけ。できるだけ物語や、エッセイ等ははずすこと。言葉は、なるべく少ない方向で行こうと決めた。
何冊か本をピックアップして、池袋のジュンク堂に乗り込む。
目的のガイドブック。手にとってめくる。1ページ1ページに、小さな写真がいっぱいつまった、写真集のようなガイドブック。一目見て、これだと思った。遅ればせながら、テーマは「旅行」に決まった。
最上階は、美術、音楽、工芸等の本がおいてある。もう1冊は絵本にしようかと考えていたので、とりあえず上ることにした。偶然、写真集の棚が目にとまり、眺めてみた。海の写真、動物の写真。あ、道の写真集がある。いいなあ、素敵だ。
そのどこまでも果てしなく伸びる道の写真集にはポストカードブックもあるということで、ポストカードの棚をのぞいてみることにした。あれば、自分用に買おうと思って。
そして、見つけてしまった。道のポストカードを、ではない。下の階で、買おうと決めた国の伝統色を集めたポストカードブックを。例えば「赤」なら、その色を使って絵が描かれている。
他の国はないかと見たが、その国のものしかない。ああ、これはもう間違いない。これを買うために、ここに来たのだと確信した。パズルが完成していくような感じに、思わずにんまりしてしまった。

本屋を出て、ロフトへ急ぐ。
ラッピングをせねば! 手紙を書かねば! もう、時間がない!
喜んでもらえるだろうか。期待と、不安がないまぜになる。
そして、この間メールが来た。喜んでくれているのが、文章の端々から伝わってきて、こちらまで嬉しくなってしまった。こちらこそ、楽しい時間をありがとう、だ。
どうか、素敵な時間を過ごせますように。




 
by the-sahara | 2006-05-04 01:39 | 日常のひとこま