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コーヒー片手に、日々の何気ないことをつづった日記であります。


by the-sahara
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大人の夏休み~三輪さんを訪ねて

8月11日、奈良二日目。

今日は奈良駅を離れて、電車で30分の旅に出る。
奈良から遠ざかるにつれて、駅と駅の感覚が広がり、風景から人の手で作られたものが少なくなっていく。
目指すは三輪駅。

三輪駅に来るのは、いつも正月なので、ワンマンカーの前の車両しかドアが開かないことを知って驚いた。
正月には車両の数も、本数も多く、すべてのドアが開いていたはず。何となく、「ふだんの顔」をのぞき見たようで嬉しかった。

炎天下の三輪に到着。
思わず背中を丸めるような寒さはそこになく、暑い暑いと言いながら参道へ向かう。
正月には、色とりどりの屋台が立ち並び、人で賑わう参道への道も、今日は静まり返っている。

こんなに広かったのかと思っていると、遠くに鳥居が見えてきた。
赤くない、木そのものの鳥居。まわりの風景から浮き上がることなく、いつもながらの落ち着いた風情で迎えてくれる。

こんにちは。お邪魔します。
と、鳥居のところで、ゆっくりと頭を下げる。
高い木々が影を落とす参道を、ゆっくりと歩き始める。
視界が緑に染まるくらいの緑。通り抜けていく風が涼しい。

手水で手と口を清め、いよいよ拝殿へ。
ここ、大神神社(おおみわじんじゃ)は、日本最古の神社の一つと言われている。
本殿はなく、拝殿から御神体である三輪山を仰ぎ見て拝むのである。

目を閉じて、お礼と祈りを捧げる。
次第に、頭の中から言葉が消えて、ただ一心に祈っている状態になる。
遥か昔から、こんな風に、たくさんの人々が三輪の神様と向き合ってきたのだろうな。
「三輪さん」と親しみを込めて。

お参りをすませたあとは、少し歩いて狭井神社へ。
万病に効くという「御神水」をいただく。

何とも清々しい気持ちで、もと来た道を戻る。
その道すがら、主人が呟いた一言が心に残っている。
「なるほど、三輪さんが根底にあるんやな。やっと、こだわりの理由が分かったよ」と。
その通り。百聞は一見に如かずでしょ?
来てもらえば分かると思ったけれど、打てば響くように理解してもらえたのが嬉しかった。

私は挙式をする神社を決めるときに、第一の条件に挙げていたのが、「街の風景が見えないこと」だった。
式を終えたあとに、いきなり日常に引き戻されるのが嫌だったからである。
神様に向き合える場所に、少しでも長くいたかったのだ。
当たり前のように、手を伸ばせば触れられそうなほど近くに。

昨日よりずっと、穏やかな気持ちで神社をあとにする。
ああ、贅沢な夏休みだなあ。
また行こう。
by the-sahara | 2008-09-01 22:15